概要
作者: 垣谷美雨
非正規雇用の主人公(女性)が仕事も生活も散々な状態となっり、テレビでやっていた就農支援の番組がきっかけで農業の世界に飛び込む。
しかし、思うように農業で自立することができず、日々苦悩する。
同じように就農を目指す仲間や、周りの人達とのつながりで何とかやっていくことができるようになる。そんなお話でした。
感想:面白かったです。★★★★☆
自給自足、田舎での生活、そんな言葉に漠然とした夢と言うか、期待というかそんな思いを日々モンモンと抱いています。
団塊ジュニアの皆さんならちょっとは考えたことがあるんじゃないでしょうか?
仕事を離れて晴耕雨読な生活、のんびりと過ごし、納期や会議に追われない日々・・そんな時に何となく読みやすそうな題材の本書を見つけて手に取ってみました。
良かったなと思う点は農業を始めるにあたって通常の農業支援の紹介(雑誌の移住に関する紹介とか、地方の就農案内とか)ではやっぱり本当の就農の難しさは紹介されていないんだなと思ったところです。
この本で全ての大変さが表れているとは思いませんが、少なくとも就農を斡旋だけする立場ではなく、調査した結果を書いてくれていて、「なるほどそんな問題は確かにあるだろうね」と思うところが多々ありました。
良く言う、無農薬野菜や有機栽培と言った理想を持っていても、実際に利益を上げて生活するのはやはり大変だということを具体的に知ることができました。
物語はと言うと最終的にハッピーエンドなんですが、それも人間関係が生み出した結果で、万人が成功するためのHowToではありません。
つまるところ、知識や技術もさることながら人間力がやはり成功のカギになるということでしょうか。
おっさんの今の生活と比べてみると、就農に限らず自営はきっと予想できないことが多々起こるんだろうなあと容易に想像できます。
この話は自分がサラリーマンを辞めて何かしら事業を始めた時に起こる問題を疑似体験できる気がします。
しかし、この主人公もそうですが、非正規雇用はやっぱり問題を多分に含んでいる気がします。(この件に関しては、またいつの日か題材にする時もあるかと思います。)
まとめとして、新しい世界に足を踏み入れる時は事前調査は必要だとは思いますがそれ以上に、とりあえず足を踏み入れる。
その世界での人間関係を育てることが大事って感じでしょうか。
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