概要
作者:上橋菜穂子
大国に占領された地方豪族の領主であったヴァンが奴隷となって労働を強いられるところから始まる。
その作業場所で狼を介した伝染病にかかるが、一命を取り留める。
作業場に残された幼子ユナを抱えて作業場所から逃走する。
伝染病の影響で自分とピュイカ(鹿)が憑依した感覚になる現象を自覚する。
大国の医師が伝染病のワクチンを作ろうとヴァンを捜索する為に密偵を立てるが捕まらない。
感染源である狼は大国に占領された部族の長が憑依人為的に起こしたテロ行為なのだが、
ヴァンと医師が共闘してそのテロを未然に防ごうとするお話。
感想:面白かった。★★★★★
鹿や狼に憑依するファンタジー小説なのですが、現実社会の物理法則というか自然の摂理というか
そう言った部分は緻密に計算されている印象を受けました。
例えば、韓国ドラマでは夏の恋愛中なのに、別れ話になると突然雪景色に変わったりすることがあると思うのですが、
雰囲気のために自然の法則を無視した話の流れを作るようなことが無い感じ。
例えば、漫画でピンチな時に都合よく物事が運んだりするようなことが無い感じ。
当然、ファンタジーなので現実世界では無いような憑依という部分はあるのですが、仮に今の世の中で憑依することがあるとしたら、「こんな風になるんだろうなあ」と共感できた。
幾つかのシーンが並行して話が進むんですが、良い所で切れるんだこれが、
おっさんは4巻全てが発売されてから一気に買って読んだけど、1巻づつ読まされたら「早く次!!」ってなってたんじゃないかな。
話のテンポもよくて読みやすかった。
おすすめの一冊です。
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