そろそろ必要か?
営業になって1年が経つ。
段々慣れてきた気がするが、慣れてきたら「こうしたい」と言う部分も出てきた。
その一つが、鞄だ。
お嫁ちゃんに相談したら、
お嫁ちゃん:「ええやつ一つ買う?」
おっさん:「おれ、革職人やし、その内、自分で作るわ」
お嫁ちゃん:「それって、何時やねん…」
と言う会話が半年前・・・
それから更に半年が経ち、2019年11月には、なんとも悲しいお嫁ちゃんの死もあった。
そして、現在に至るわけだ。
そんなお嫁ちゃんとの約束を果たすべく、仕事用のカバンを作ることにした。
これまで使っていた鞄も自作なのだが、そんなに物を入れる想定ではなかった。
せいぜい、筆記用具とノートと財布とタオル、たまにペットボトルくらいの想定だった。
ところが、やはり営業になると資料や、ファイルと言った鞄に入れないといけない物が増えてきた。
鞄のスペック
そんなわけで、新しく鞄が欲しくなりました。
新しい鞄に求める機能はと言うと、
・資料を入れる紙袋が入る大きさであること。
・名刺・筆箱用のポケットがあること
・メインの口以外に単行本なんかが入る別口があること。
・肩からもかけられること。
そんな鞄は無いじゃろか?
と思って、まずはネットを徘徊してみました。
そこで、サラリーマンに人気の鞄なんかを色々物色し、なるほどね、「今はこんなのがあるんやね~」とか思ったが、やっぱり、仕事で長く使うんだし、変わったカバンよりオーソドックスなデザインがいいよね。
まずはサイズの検討はこんな感じで、
横:40cm
高さ:30cm
マチ:7cm
名刺、筆箱用のポケットは内布に作ろう。
持ちての部分をサブのポケットにすれば、2カ所のポケットができる。
片方をファスナー、片方をマグネットにしよう。
そのイメージがこれだ。
結局、よく見るスタイルになってしまう。
機能性を考えると、やっぱりスタンダードな形のカバンになるんだろうねえ。
まずは、革選びだ。
今回の革はちょっと奮発した。
1DC = ¥180 (※DC(デシ) 10×10cm四方が1DCとなります。)
イタリア製の革で、経年変化が楽しみな一品だ。
全体で220DC ¥39,600 (高っ!)
(お嫁ちゃんが生きていたらきっと家の経費では落ちなかったでしょう・・・)
おっさんは作品を作る時参考になる作品をネットで観察し、ノートにイメージを書き出す。
書き出したイメージを部品ごとに展開図にして、型紙に起こす。
それを、頭の中で組み立てて「出来るかなぁ・・」と想像する。
この想像期間一番長い時間になってるんじゃないだろうか。
今回も、まずはノートに書きだしてみた。
このイメージを元に、型紙を作ってみる。
さあ、作ってみよう!
スペックを元に設計も終わり、イメージトレーニングも十分に済ませた。
ここからは、作っていって詰まったら微調整で進めていく。
臨機応変さが求められるのだ!
革のカット
型紙を革にあて、カットする。
今までの革より柔らかく、伸びる感じだ。これが、高級な革なのか?
おっさんの好みとしては、もう少し固い方が好きなんだが・・・
でも、革表面はしっとりしていてきれいな加工だ。
爪を立てると、傷が残る感じ。これが、高級な革なのか?
そういうことにしておこう。全体的には気に入ってるし。
持ち手の帯部分
カットが終わると、革を重ねて大きさや出来上がりのフォルムを確認する。
う~ん、良い感じだ♪
型紙で大きさはイメージしていたが、実際に革を重ねてみると色や質感も解って情報量が多くなる。
次にたくさんのパーツをつなぎ合わせていくわけだが、どこからつなぎ合わせるべきか、これを間違うとえらいことになる。
下手をすると、一旦ほどいて縫い直しってこともある。
そうでなくても、縫いにくくなることはよくある。
今回の鞄で難しくなりそうなのは内布の縫い合わせだ。
鞄本体と内布をどこで縫い留めるのがいいのか、かばん屋に行って実際の鞄の内布の縫製をじっくり観察し、店員に怪訝(けげん)がられても買おうか迷っている風を装って観察を続けた。
結果、良くわからなかったので、縫いながら考えることにした。ちょっとヤバいやり方だが、仕方ない。
まずは、内布には影響のない持ち手の部分から行ってみよう。
折り返して鋲で止めてみる。デザインと言うよりは強度の為だね。
ポケット
次に内布に影響のない箇所として、ファスナーとマグネットで止めるサブポケット部分だ。
こちらも内布を使うが、本体の内布部分とは分離しているのでそれ程難しくない。
それでも革と布の結合部分を先に縫って、その後布の袋部分を縫う順番としたが、これであっているのだろうか?
先に袋部分が正しい気がするが、革との結合部分が気になって先に縫ってしまった。
しかし、これでカバンの前面と背面は完了したことになる。
ファスナー側も同じような作りなるが、マグネットより手間だし、難しい。
こんな感じでファスナー部分とマグネット部分の前面と背面を完成させる。
底面と側面
さて、次にカバンのマチ部分となる底面と側面に取り掛かる。
底面と側面は少し重ならせて、強度を高めるようにした。
多少重くても強くないとね。
そして、縫いあげるとカバンの全体像が見えてきた。
革が袋状になって、完成までもう少しって感じに見えるけど、結論から言うとまだ半分も来ていない。
前面、背面、底面、側面をつなぎ合わせ、一つの袋状にする。
何となくカバンになっているが、作業はまだ半分も行っていないのだ。
内布の縫込み
これから、ファスナー部分に内布を縫い合わせる。内布全部を縫うのは後から縫うので、まずは革に直接くっつく部分を縫い込む。
そして、袋状の内布を部分をミシンで縫う。
ファスナー部分の内布と袋状の内布を縫い合わせ、ファスナー付きの内布を完成させる。
次に底面に型崩れを防ぐために下敷きを打ち込む。
天面
ファスナー部分の革と本体の革を縫い合わせる、ポイントはこの縫い合わせの際に内布も一緒に巻き込んで縫う必要がある。
巻き込んで縫うことで内布が革に未着した状態で釣りあげられることになり、型ずれしない。
この縫いでは革が多い箇所で3枚を同時に縫い、更に内布を巻き込むので穴に針がなかなか通らない。10穴程度だが、普通の何倍も時間がかかった・・
更に天面と側面を縫う時も内布を巻き込むように縫うのが難しい・・・
でも、出来上がりを見たところ縫いあげていく順番はたぶん正しい順序だったのだろうと思う。この順序を考えるのにかなり苦労した。
持ち手
持ち手部分は心材をどうするか悩んだが、ちょうど昔のパソコンで使っていた電源ケーブルがあった。持ちての太さ、しなやかさ含め持ちてとしてちょうどよかったので今回は電源ケーブルを採用してみた。
なかなかいいアイデアだった。
ファスナー
仕上げでファスナー部分も革仕様に変える。こういう部分をきっちり仕上げないと安っぽく見えるよねえ。
完成
30時間くらい掛かって作ってみた。
いろいろと苦労したけど、作り方の手順はたぶん間違ってないと思う。感想としては、内布はちょっとしたアクセント程度に見えるけど、下手すると革部分と同等の時間がかかる。
内布恐るべし・・が今回の感想かな。
持ち手部分がかなりしっかりしている。
心材に電源コードを使ってるからね~
内布もしっかり縫い合わさって、鞄と一体となっている。
予定通り~
ちょっとバックが汚いのが写真的に・・・
でも、満足いく仕上がりだ。
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